タイと三味線の関係
先日、タイの首都バンコクで出演した、Japan Expo Thailand
公式ページに上がってた映像がすげぇカッコ良くて、打ち合わせ無しのぶっつけ撮影だとは思えない美しいカメラワークで「これがプロの仕事か~!」と感動したんだけど、あの映像どこかで手に入らないのかな。(イベント開催期間とともに公開も終わってた……)
50万人来場のビッグイベントということで、特設ステージもビッグサイズ。大きなステージが3ヶ所あったのですが、各1000人くらい見てる人がいたかかな・・・この規模のイベントになると、ステージの運営にもたくさんのスタッフさんがいらっしゃいます。
特に私は楽器を使うので、ステージの音響スタッフさんにはお世話になりっぱなしです。ステージと客席にも距離があるので、音響さんがいないとなんにも聞こえないですからね。
音響スタッフ、三味線に興味津々
楽器を使う場合、各ステージの前に機材のセッティングを確認するのですが、タイの音響スタッフさんたち、三味線に興味津々。
通訳さんいわく、タイには三味線に類する楽器が無いのだそう!
ギターやセタール、三味線のような、ピック(撥)で弦を弾いて音を出す楽器が無いらしい…
タイの民族音楽でギター型の楽器は、バイオリンみたいに弓で弾くのが基本。和楽器だと胡弓が近いんだろうか?
「これどうやって弾くの?」「このデカいピックはどうやって使うの?」と舞台袖で盛り上がってました。
確かにバチの形は独特だよね。
↑こうやって持ちます。
三味線の皮はタイから
そんなタイでは目新しい和楽器・三味線ですが、実は三味線の原材料はタイから輸入していたことを、知ってましたか!?
私がイメージガールを務める新型津軽三味線・Akatsuki の販売サイトbachido warehouse(https://bachidowarehouse.com/)でも、販売元の谷中さんがブログに書いているのですが、
三味線の皮はタイから輸入しています!!
正しくは、していました・・・
三味線(特に津軽三味線)の、胴の部分に張る皮は主に犬の皮が使われています。
谷中さんも1年の半分くらいタイに居る生活で、タイの工場からずっと輸入していたのですが、昨年末、ついにタイで犬皮の製造が禁止になった模様です。
詳しくはbachido warehouseブログにて谷中さんが書いています。
この犬皮は、80年代から、タイで製造され、広く普及いたしました。なによりも、国産の犬皮に比べて、皮の強度が増して、丈夫になり、安価であったのが爆発的な普及につながりました。
タイ産の犬皮は、1980年代から今にいたるまで、日本の三味線業界で活躍してきたんですね。
今は世界的に動物愛護の流れが強いですし、特に犬を食べる文化は絶滅寸前だそうなので「皮のためだけに動物を殺すのはちょっと……」という流れはわかります。
個人的には、今後は合成の皮が主流になっていくんじゃないかと思っています。
(そういえば今、私と同じ師匠の門下の高校生がニュージーランドに短期留学しているのですが、留学のために三味線を合成皮に張り替えていました。ニュージーランドは世界的にも動物愛護が厳しいんだそうです。)
三味線の材料は、世界中から輸入されてきた
実は皮のみならず、日本の伝統楽器である三味線の材料は、ほとんどが海外からの輸入品です。
三味線の棹には、紅木や花梨という木の木材が使われているのですが、これらの木材の原産地はインドや東南アジア。これは最近に始まった話ではなく、江戸時代から中国経由で輸入していたそうです。
糸巻きに使う黒檀、バチに伝統的に使われてきた象牙やべっこうも、基本的に輸入。(象牙とべっこうは、今ではワシントン条約で輸出入が禁止されています。昔仕入れた材料を切り崩して使っているから、高いんだそう。)
日本の伝統も、日本の中だけで成り立ってきたわけではなく、世界との関わりの中にあったんですね。
↑現在、なつみゆずがメインで使っているバチは、アクリル製。透明でオシャレ。音質はべっこうと変わりません。最近はこれを推している若手三味線奏者も多いです。
↑こちらの記事で紹介しているのは動物性樹脂製。原料は見た目ではよくわからないのですが(笑)三味線屋さんによると、蟹の甲羅だそうです。私はとても気に入っています。
Japan Expo Thailandの映像、YouTubeにアップしました!
今回、バンコクでパフォーマンスしてきた映像を、なつみゆず公式YouTubeチャンネルにて公開しました!
1月なのに灼熱の炎天下のタイを追体験!
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